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フリースクール・フォロの活動のようすを、できるかぎりマメに更新していきます。

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「いるだけで、いい」……… フォロのキャッチフレーズ。

4年前、フォロのボランティアになって、毎週1回、この場で私は子どもたちとすごしてきた。私がフォロに来るきっかけになったのは、次男が高校3年時、登校拒否になり、その後、自宅を中心とする生活(働いたり、出ていく場には行く)になったことからである。

初め、緊張して入ってきた子どもが、数カ月もすると、自分の居場所を見つけ、安心した表情に変わる。フォロは、徹底した個を尊重した場だ。ここで1日、あるいは半日、どんなすごし方をするかは、それぞれの子が、その日来る・来ないも含めて、自分で決めるのが、作法である。

私は、初めのころ、「個の尊重」にしばしばとまどいを感じたものだ。たとえば、何で昼食をいっしょに食べないのか? なんでテレビゲームを1日中しているのか? なんでミーティングに全員参加しないのか? ……それは、いまだ私自身が学校的感覚から抜け出せていなかったからだろう。

学校でいじめにあったり、人間関係でしんどくなった子どもにとって、フォロは疲れた心と身体をいやす場なのだ。これまで背負ってきた重荷をおろす場なのだ。親とても、子どもとともに、泥まみれ、血まみれで、誰と対峙しているのかわからなくなるほど、疲れ切った日の夕方、ふと見つけた灯りに、心がゆらいで、身も心も立ち寄りたくなる場である。

フォロがある場所は、大阪府庁に近接し、商人の街、大阪のメインストリート・谷町筋からすぐのビルのワンフロアーに位置している。「いるだけで、いい」をモットーとするフォロは、この場に集う子どもには心地よく、存在自体が結果的に公教育への異議申し立てをしている。

昨年初め、フォロのNPO会員になって知ったのは、この「心地よい空間」が、多くの人の情熱と善意によって、かろうじて維持されていることだ。公的補助が皆無で、通常の運営資金を利用者(保護者)の負担で基本的にまかなっていることから、市内の一等地にあるビルのワンフロアーを借り続けるための家賃負担が限界に達している。昨年4月より、フリースクールの開設日を1日減らし、職員(スタッフ)全員、週3日就労のパート勤務にするという新体制となった。人件費を大幅に減らすという苦渋の決断だったと思う。しかし、なお、赤字決算が続いている。善意と情熱だけに依存する運営は、これ以上続けてはいけない。

フォロを利用されているすべての人たち、フォロを大切に思っている人たち、この場が存続し続けるために、現実を直視し、それぞれの立場で、今すぐできることから、行動をおこしていきましょう。

①フォロの財務状況を知ろう。
②NPO会員になる。会費収入により、フォロの安定収入が増える。
③公的助成を求める運動を始める。公教育がはじき出した子どもたちを、「公」が何らかの対応をするのが当然であるということ。(具体的には、府、市への働きかけ)
 
News Letter#24/2010.09.01より

このところ、居場所についてあらためて考え直すことが多い。いろんな人と、いろんなところで、居場所について話し合うことも多い。なぜなら、誤解をおそれず率直に言えば、これまでのようなやり方では、居場所が居場所として成り立たなくなってきているからだ。それはフォロだけのことではなくて、あちこち、どこも同じようだ。

社会がスカスカになって、カチンコチンになって、多くの人が、常にガンバって評価されていないと生きていけないかのような緊張状態にある。居場所というのは、そういう価値尺度とは別の尺度で人が集まり、おたがいをゆるめ合うことのできる場のことだと思う。しかし、それがなぜか、いろいろな意味で難しくなっている。紙数がないので乱暴にイメージだけで言えば、何か底が抜けてしまっているのだ。

これまでは、なんとなく無意識のうちに、もやもやっと安心感のようなものが人と人のあいだに漂っていて、それを前提に居場所というのも成り立ってきたのだと思う。それが、スッカスカになってしまっているので、放っておくと、なぜかしんどいことになってしまう。そんな気がしている。だから、居場所をあえて意識化して、言語化し、そして折り合いをつけたり異なる他者と共存する知恵をつむいでいくこと。そういう知恵が必要になっているように思う。

かつて、クロード・レヴィ・ストロースが「料理の三角形」という図式で料理文化を分析していたが、それによると料理は「生のもの」「火にかけたもの」「発酵したもの」の三つになる。「生のもの」はいちばん自然に近い料理で、それに文化的な変形を加えるのが「火にかけたもの」、自然的変形を加えたのが「発酵したもの」、たしか、そんな図式だった。火にかけるというのは、人間の「文明」的な力を非対称的に加える感じがする(ただ、やみくもに強火にすればよいわけではなく、食材の状態をみながら加減をしないといけないが)。それに対して発酵の場合、温度やら湿度やら菌の生育環境によって大きく変化するし、人間が料理するというより、ゴキゲンをうかがいながら、菌の力を貸してもらっているという感じがする。

「居場所」とか、人の集まる場における知恵にも、「火にかける」ような知恵と、「発酵する」知恵のような、両方が必要なんだろうなと思う。「火にかける」というと、なんだか過激に聞こえるが、たとえば明文化したルールのような、自然状態をハッキリ加工するような知恵。「発酵」というのは、おたがいに察し合うことだったり、生き物としてのうごめきを、いい状態に共鳴させるような知恵。そんなふうに思う。

News Letter#25/2010.09.01より

3年前の春、音楽の道を目指して大阪へ来た私には、もうひとつやりたいことがありました。それは、自らの不登校とフリースクール生活の経験を活かし、フリースクールとそこにいる人たちの力になること。不登校経験後、復学せずフリーターをしてきた私は、不登校がネガティブなものではなく一つの選択肢として存在すること、そして学校以外にも生きていける道があることを、自分にも周囲にも示したかったのです。ボランティアとしてフォロと関わってきた3年の間には、知人に「ボランティアもいいけど、自分の生活をもっと確立させないと」と言われたこともありました。それでも、フォロのスタッフにとのお話をいただいたときには、好きなことを続けてきたこと、音楽のスキルなどが子どもたちの役に立てられたことも含め、まわり道をしてきた自分だからこそできることを見つけられたようで、本当にうれしく思います。

フォロに関わりはじめた当初、「みんなに慕われる完璧な良いお兄さんになるぞ!」なんて意気込みを密かにしていたこともありましたが、今やそれもどこへやら……毎週、フォロに来ると素の顔になっている自分がいます。とは言っても、「いい大人」ってどんなものかというとまた悩みどころで。

子どものころ、私から見た大人と言えば、どこか自分とはちがう生き物、大人から子どもへ言葉や情報が一方通行の存在のような気がしていました。しかし、フリースクールをはじめ多くの大人と深く関わるようになったなかで感じたのは、大人もみんな悩みやわからないことがたくさんあって、いつも子どもにどう思われているか気にしたり、弱い部分もたくさんあって、それでも必死で私たちと繋がろうとしてくれている姿。完璧な大人なんて周りには一人もいなかったけど、いっしょに泣いたり笑ったり怒ったりしながらも、気づけば、転ばないように、傷つかないようにと手を引いてくれていた姿。それを知ってからは、大人は遠い存在ではなく、自分と同じ道の少し先を行く人たちなのだと思うようになりました。

もちろん、私たちに無関心な大人や、否定的な人たちもいましたが、だからこそフリースクールやそれを支えてくれていた人たちが本当に貴重で大切だったのでしょう。そして、そのとき自分が受け取ったものを、いま必要としている子たちにも渡してあげられたらと思ったのでしょう。もちろん、自分が昔してもらったようにできているという自信はまだまだありませんが、今子どもたちと接している自分のなかにも、あのころ見ていた大人たちが確かにいることを感じています。

この「居場所」という価値ある存在と、そこに集う人たちのためにやれる限りのことができればと思いますので、どうかよろしくお願いします。

News Letter#24/2010.03.25より

プロフィール

HN:
フリースクール・フォロ
性別:
非公開
自己紹介:
フリースクール・フォロは、大阪市にある学校外の子どもたちの居場所です。学校が苦しい子どもたちは年々増えています。学校と家庭以外の第三の居場所は、子どもの命を守るためにも切実に必要です。「フォロ」の意味は古代ローマの広場、フォーラムの語源となったものです。学校に行かないことを否定されず、子どもたちが集い、交流し、さまざまなものをいっしょに創造していきたいと思っています。

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